副業で少し収入が出た人が最初に知りたいのは、「自分は確定申告が必要なのか」「やり方が分からない」「マイナンバーで会社にバレないか」の3つです。
先に結論をお伝えします。副業の所得(収入−経費)が年間20万円を超える会社員は確定申告が必要で、やり方は「①書類を集める→②帳簿をまとめる→③申告書を作る→④提出する」の4ステップ。提出は原則、翌年の2月16日〜3月15日に行います。
そして「マイナンバーでバレる」という不安は、実は仕組みの誤解です。
この記事で、ひとつずつ、ゆっくりほどいていきます。
副業の確定申告のやり方は?結論と4ステップ・申告期間
まず、いちばん大事なところだけお伝えします。
会社員・パート・アルバイトなど給与をもらっている人は、本業以外の副業の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要です。
ここでいう「所得」は売上そのものではなく、副業の収入から必要経費を引いた後の金額を指します。
やり方の全体像は、そんなに複雑ではありません。
- STEP1 1年分(1月1日〜12月31日)の収入・経費・控除証明書などの書類を集める
- STEP2 副業の収入と経費を集計して帳簿をまとめる
- STEP3 確定申告書を作成する(ソフト/国税庁の作成コーナー/手書き)
- STEP4 税務署へ提出し、納税または還付を受ける
そして見落とされがちなのが「いつ提出するか」です。
所得税の確定申告は、原則としてその所得を得た年の翌年2月16日から3月15日までに行います。
3月15日が土日にあたる年は、翌平日にずれます。たとえば2025年分(令和7年分)は3月15日が日曜のため、期限は2026年3月16日(月)になります。
なお、払いすぎた税金が戻る「還付申告」だけなら、年明けの1月から受け付けてもらえます。
申告期限を過ぎると加算税などの対象になりうるので、まず「4ステップ+期限は3月15日前後」とセットで覚えておくと安心です。
「やり方が分からない」と検索する人の多くは、実はこの全体像と期限が見えていないだけ、というケースが少なくありません。
筆者としては、「たった4ステップだ」と知るだけで、心のハードルはかなり下がると感じています。
副業の確定申告はいくらから?「20万円=所得」の意味と住民税
「20万円」という数字はよく聞くのに、意味を取り違えている人がとても多い数字でもあります。
国税庁の基準では、1カ所から給与を受けている人で、給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円を超える場合に確定申告が必要とされています。
2カ所以上から給与をもらっている場合は、年末調整されなかった給与収入と副業所得の合計が20万円を超えると申告が必要です。
ここで大切なのは、繰り返しになりますが「20万円は収入ではなく所得」だということ。
たとえば副業の売上が25万円でも、経費が10万円かかっていれば所得は15万円。20万円以下なので所得税の確定申告は不要、というわけです。
逆に経費がほとんどかからず、売上25万円がそのまま所得なら、申告が必要になります。
ここを勘違いすると、「必要なのに申告しない」あるいは「不要なのに慌てる」という取り違えが起きます。
そしてもう一つ、見落としやすい落とし穴があります。
副業所得が20万円以下でも、住民税の申告は別途必要です。
20万円以下で不要になるのはあくまで所得税の話。住民税は各自治体に別ルートで申告するのが原則です。
「所得税と住民税は別ルール」と割り切って覚えておくと安心です。
副業の所得は何になる?雑所得・事業所得・給与所得・不動産所得の見分け方
やり方を進める前に、自分の副業がどの「所得の種類」に当たるかを知る必要があります。
所得税法では所得を10種類に分けており、副業では主に次の4つが関係します。
| 所得の種類 | 主な副業の例 | 青色申告 |
|—|—|—|
| 雑所得 | Webライターの原稿料、単発コンサル、ネット販売、アフィリエイトなど | 不可 |
| 事業所得 | 継続・独立して「事業」といえる規模で行う副業 | 可(要件あり) |
| 給与所得 | アルバイト・パートなど雇用されて得る給与 | 対象外 |
| 不動産所得 | アパート・マンション等の家賃収入 | 可(※注) |
※不動産所得の「5棟10室」は、あとで触れる65万円控除を受けるための“事業的規模”の目安であって、青色申告そのものの条件ではありません。規模がそれ未満でも青色申告は選べます(ただし特別控除は最高10万円まで)。ここは混同されやすいので分けて覚えてください。
事業所得と認められるかは、社会通念上「事業」といえる程度で継続的・独立的に行われているかで判断されます。
2022年(令和4年)の国税庁の通達改正では、帳簿書類の記帳・保存がある場合はおおむね事業所得に区分される、という考え方が整理されました。
逆に、記帳・帳簿保存がなく、収入がおおむね年300万円以下で片手間・一時的なら、雑所得とみなされやすいとされています。
私がハンドメイド作品をネット販売し始めた頃も、最初は「これって雑所得?事業所得?」と迷いました。
正直に打ち明けると、当時の1年目は売上が年8万円ほど。材料費・送料・販売手数料を差し引くと、手元に残る所得は4万円台でした。
20万円にはまったく届かず、規模も片手間そのもの。結局この年は雑所得の扱いで、無理に事業所得や青色申告を目指さず、白色で記帳を続ける——という現実的な落としどころに落ち着きました。
答えは「規模と続け方次第」。焦って結論を出さず、記帳を続けながら考えるのが等身大の進め方だと、今も感じています。

副業で経費にできるものは?「事業のために使ったか」が判断軸
所得は「収入−経費」で決まるので、何を経費にできるかは、申告の負担を左右する大事なポイントです。
判断軸はシンプルで、その支出が副業の売上を得るために直接必要だったか。ここに尽きます。
副業でよく経費になりうるものを、目安として挙げておきます。
- 材料費・仕入れ代(ハンドメイドや物販の材料など)
- 販売手数料・決済手数料(フリマアプリやネットショップの手数料)
- 送料・梱包資材費
- 通信費やサーバー・ソフト代(副業に使った割合分)
- 参考書籍・セミナー代(副業に関連するもの)
一方で、プライベートと兼用のものは「家事按分」といって、副業に使った割合だけを経費にするのが原則です。
たとえば自宅の一室を作業場にしている場合の家賃や電気代は、使った面積や時間の割合で分けて計上します。
領収書やレシートは、経費の裏づけとして保存しておく必要があります。
ここは完璧を目指すより、「迷ったら記録だけ残しておく」くらいの気持ちで始めると、長続きしやすいと感じています。
青色申告なら最大65万円控除|副業初心者が先に知る条件
事業所得や不動産所得がある人は、確定申告で「白色申告」か「青色申告」を選べます。
青色申告の最大の魅力は、最高65万円の青色申告特別控除です。
e-Taxでの電子申告など一定の要件を満たせば65万円、簡易な帳簿なら10万円という段階があります。
ほかにも、赤字を翌年以降3年間繰り越せる純損失の繰越しや、家族への給与を経費にできる青色事業専従者給与などの特典があります。
ただし、良いことばかりではありません。
青色申告をするには、原則としてその年の3月15日まで(新規開業ならその日から2カ月以内)に「青色申告承認申請書」を税務署へ提出し、複式簿記で記帳する必要があります。
この申請を出し忘れると、その年は青色申告そのものができません。
ここは正直にお伝えしておきます。副業が雑所得にとどまる段階では、そもそも青色申告は使えません。
「まず白色でやってみて、規模が育ってから青色を検討する」——慎重派の方には、この順番のほうが無理がないと私は考えています。
副業の確定申告のやり方3つ|ソフト・作成コーナー・手書きとe-Tax
いよいよ具体的なやり方です。確定申告書の作り方は、大きく3通りあります。
- 確定申告ソフト・アプリ 入力画面に沿って進めれば申告書ができる。日々の記帳から作成まで一気通貫で、初めての人でも進めやすい
- 国税庁「確定申告書等作成コーナー」 国が提供する無料ツール。画面の指示どおり入力すれば税額が自動計算され、e-Tax送信・印刷提出のどちらも可能
- 手書き 用紙を入手して記入。パソコンが苦手な人向けだが、計算ミスや記入漏れが起きやすい
提出方法も、e-Taxでの電子申告、税務署への郵送、窓口への持ち込みなどから選べます。
e-Taxを使う最大の利点は、原則24時間いつでも手続きでき、源泉徴収票や控除証明書、領収書などの添付が省略できる点です(ただし書類の保存義務は残ります)。
マイナンバーカードと、カード読み取りに対応したスマホがあれば、スマホだけで申告まで完結できます。
さらに便利なのが「マイナポータル連携」です。
マイナポータル経由で源泉徴収票や控除証明書などのデータを一括取得し、申告書へ自動入力してくれる機能で、特に医療費控除や生命保険料控除の入力がぐっと楽になります。
なお、副業所得が20万円以下でも、医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)、住宅ローン控除の初年度などがある人は、確定申告をすると税金が戻ることがあります。
「不要」=「やらない方が得」とは限らない点も、頭の片隅に置いておくと取りこぼしがありません。
「難しそう」と身構えていた人ほど、作成コーナーの案内に沿って進めると「思ったより誘導が親切だった」と拍子抜けするはずです。
マイナンバーで副業は会社にバレる?住民税の仕組みで整理
ここが、この記事のいちばんの核心です。
「マイナンバーで副業が会社にバレるのでは」という不安は、多くの人が抱えています。
先に結論を言うと、企業がマイナンバーを使って従業員の副業所得を調べることはできません。
公的機関がマイナンバーで個人情報を名寄せして一元管理しているわけではなく、税や社会保険の情報は税務署・年金事務所などに分散して管理されているだけだからです。
では、なぜ「バレる」と言われるのか。答えは住民税の納付方法にあります。
仕組みを整理すると、こうなります。
- 副業がアルバイト・パート(給与所得) → 本業と合算され、勤務先に住民税額が通知 → 気づかれやすい
- 副業がフリーランス・内職(事業所得・雑所得) → 申告書で「自分で納付(普通徴収)」を選べば、副業分の住民税は自宅に届く → 伝わりにくい
つまり「マイナンバーのせいでバレる」のではなく、住民税の徴収方法の違いが原因というのが正確な理解です。
ここを混同したまま不安だけを募らせている人が、本当に多いのです。
なお、確定申告そのものにはマイナンバーの記載と本人確認書類が必要です。
マイナンバーカードがあれば身元確認・番号確認の両方に使えます。
カードがない場合は、通知カード等の番号確認書類と、運転免許証などの身元確認書類を別々に用意します(提出方法によって扱いが変わるため、詳細は国税庁の案内で確認してください)。

申告しないとどうなる?無申告のリスクと国税庁の最新データ
「バレなければいい」という考えについても、正直に触れておきます。
国税庁が2025年12月に公表した「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」によると、実地調査と簡易な接触を合わせた「調査等」の合計は約73万6千件。
そのうち申告漏れなどの非違があったのは約36万9千件にのぼります。
このうち、無申告者をねらった実地調査(特別・一般)は4,812件でした。
ここが押さえどころです。非違36万9千件という大きな母数と、無申告者への実地調査4,812件は“別の数字”なので、混同しないよう、あえて分けて示しました。
無申告者1件あたりの申告漏れ所得金額は約2,992万円と、通常の実地調査全体(約1,486万円)の約2倍という高い水準になっています。
そして、税務署が無申告を把握する経路は複数あります。
取引先が提出する支払調書との突き合わせ、税務調査、第三者からの情報提供、銀行口座やネット取引の記録など。近年はAIを活用した調査対象の選定も進んでいます。
「バレないだろう」という前提そのものが、かなり危うくなっているのが実情です。
申告を怠ると、本来の税金に加えて無申告加算税・延滞税、悪質な場合は重加算税といったペナルティが上乗せされます。
さらに、期限内に申告しなければ青色申告特別控除が満額受けられなくなるなど、金銭的なデメリットも重なります。
こうして並べると脅すようですが、逆に言えば「きちんと期限内に申告すれば、これらの不安はまるごと消える」ということでもあります。
考察|「分からない」の正体と、普通徴収の“抜け”
ここからは、筆者としての率直な見立てです。
副業の確定申告で人が固まってしまう本当の原因は、手続きの難しさそのものより、「所得と収入の違い」「所得税と住民税の別ルール」「マイナンバーと住民税の混同」という3つの土台があいまいなことにあると私は考えています。
逆に言えば、この3点さえ腹落ちすれば、あとはソフトや作成コーナーが手を引いてくれる領域です。
そのうえで、多くの解説記事があまり踏み込まない“抜け”を一つ加えておきます。
それは、「普通徴収を選べば絶対に会社に伝わらない」とは言い切れないという点です。
たとえば、副業がアルバイト・パートの給与所得の場合、そもそも普通徴収を選べず、特別徴収で合算されるのが原則です。
また、事業所得・雑所得で普通徴収を選んでも、自治体側の事務処理によっては特別徴収に合算されてしまう例が報告されています。
住民税の通知書に所得の内訳が記載されるかどうかも、自治体によって扱いが分かれます。
だからこそ私は、「隠す工夫」に労力を割くよりも、まず就業規則で副業の可否を確認したうえで、認められた範囲で正しく申告するほうが、長い目で見て心穏やかでいられると考えています。
副業人口の増加とマイナンバー制度の定着で、今後は無申告が発覚しやすい方向に進むと見られる以上、なおさらです。
もう一つ気づいたのは、近年の環境がかなり整ってきた点です。
e-Taxの24時間対応、マイナポータル連携による自動入力、スマホだけで完結する申告——数年前と比べても、初心者の負担は着実に減っています。
「難しいから」と敬遠していた人にこそ、一度だけでも作成コーナーの画面を開いてみてほしい、というのが個人的な所感です。
好きなことを副業に育てるなら、税金まわりは「怖い相手」ではなく「味方につけておく相棒」。焦らず、一つずつ土台を理解していけば大丈夫です。
まとめ
副業の確定申告は、所得(収入−経費)が年間20万円を超える会社員に必要で、やり方は「書類を集める→帳簿をまとめる→申告書を作る→提出する」の4ステップ。提出期限は原則2月16日〜3月15日(2025年分は2026年3月16日まで)です。
自分の副業が雑所得・事業所得・給与所得・不動産所得のどれに当たるかを確認し、事業所得なら青色申告で最大65万円控除も視野に入ります。
会社バレの鍵はマイナンバーではなく住民税の納付方法ですが、普通徴収も“絶対”ではないため、就業規則の確認と正しい申告が結局いちばんの近道。
環境が整った今こそ、仕組みを理解して申告するのが、安心への一歩です。
よくある質問
副業の確定申告はいつからいつまで?
所得税の確定申告は、原則としてその所得を得た年の翌年2月16日から3月15日までです。3月15日が土日にあたる年は翌平日にずれ、2025年分は2026年3月16日(月)が期限です。払いすぎた税金が戻る還付申告だけなら、年明けの1月から手続きできます。最新の日程は国税庁の案内で確認してください。
副業の所得が20万円以下なら、本当に何もしなくていい?
所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は別途必要です。お住まいの自治体への手続きを忘れないようにしましょう。また、医療費控除やふるさと納税、住宅ローン控除(初年度)などがある場合は、申告した方が還付を受けられることがあります。
副業を会社に知られたくない場合はどうすればいい?
副業が事業所得・雑所得なら、確定申告書で住民税を「自分で納付(普通徴収)」に選ぶことで、副業分の住民税が勤務先を通さず届きやすくなります。ただしアルバイト・パートの給与所得は合算されやすく、普通徴収を選んでも自治体の処理によって伝わる可能性がゼロとは言えません。まずは自社の就業規則の確認が第一歩です。
――白井 結

