副業でタイミーなどの単発バイトやアルバイトをした会社員は、副業で得た「所得」の合計が年間20万円を超えると、原則として確定申告が必要になります。
ここでいう所得は、給与そのものではなく、給与所得控除などを差し引いたあとの金額です。
つまり「いくら振り込まれたか」ではなく「差し引き後にいくら残るか」で判断する、というのがまず押さえたいポイントです。
この記事では、会社員が副業でタイミーの単発バイトやアルバイトをした場合の「確定申告が必要になるライン」「必要な書類」「手続きの流れ」を、順を追って整理しました。
令和7年度の税制改正で変わった給与所得控除や、給与と業務委託で税金がどう変わるかのミニ試算まで、はじめての方がつまずきやすい部分をやさしくほどいていきます。
まず、自分が申告の対象かどうかをざっくり確認できるチェックから始めましょう。
- 本業で年末調整を受けている会社員である
- 副業(タイミー・アルバイト・業務委託など)で対価を得た
- その副業の「所得」の合計が年間20万円を超えている
この3つがそろうと、原則として所得税の確定申告が必要です。ひとつでも当てはまらない人も、あとで触れる「住民税」や「還付」の話が関わってくるので、もう少しだけお付き合いください。
副業のアルバイト・単発バイトで確定申告が必要なのはいくらから?
結論からお伝えすると、本業で年末調整を受けている会社員が、副業で得た所得の合計が年間20万円を超えた場合に、確定申告が必要になります。
基準になるのは「収入」ではなく「所得」です。
所得とは、収入から経費や給与所得控除を差し引いたあとの金額を指します。
複数の副業をしているときは、それぞれの所得を合計して判断します。
たとえば、飲食店アルバイトの給与所得が10万円、ハンドメイド販売などの事業所得が12万円なら、合計22万円で申告が必要、というイメージです。
ここで見落とされやすいのが、住民税の存在です。
副業の所得が20万円以下で、所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告は別途必要になります。
住民税には、所得税のような「20万円までは申告不要」という特例がありません。
その年の1月1日時点で住民登録している自治体に、申告書を提出することになります。
「20万円以下だから何もしなくていい」と思い込むと、この住民税の申告だけがすっぽり抜け落ちてしまう。ここは筆者としても、最初に強調しておきたいところです。
タイミーは何所得?給与か業務委託かで経費が変わる
同じ「単発バイト」でも、契約の形によって所得の種類が変わり、経費を引けるかどうかが変わります。
ここが、タイミーを使う人にとって一番の分かれ道です。
副業に関係する主な所得区分を整理すると、次のようになります。
| 所得の種類 | 具体例 | 経費の扱い |
|—|—|—|
| 給与所得 | アルバイト、パート、雇用契約の単発バイト | 実費は引けない(代わりに給与所得控除) |
| 雑所得 | Webライター、フードデリバリー、業務委託の単発報酬 | 実費の経費を引ける |
| 事業所得 | 継続性・独立性のある副業(帳簿の保存が前提) | 経費を引け、青色申告も可能 |
ポイントは、雇用契約で働くタイミーの単発バイトは「給与所得」になることです。
給与所得では、交通費などの実費を自分で経費として差し引くことは、基本的にできません。
その代わりに、収入に応じた給与所得控除が自動的に適用されます。
一方、タイミーでも業務委託の案件だったり、フードデリバリーのように個人で請け負う仕事の場合は、雑所得や事業所得になり、仕事に使った経費を差し引いて所得を計算します。
見分け方はシンプルです。
支払元からもらう書類が「源泉徴収票(給与)」なのか「支払調書(報酬)」なのか。ここを見れば、自分の案件がどちらの箱に入るのかが分かります。
給与所得控除はいくら?令和7年改正で55万円から65万円へ
給与所得では実費の経費を引けない、と書きました。
では「その代わりの控除がいくらか」を知っておくと、判断がぐっとしやすくなります。
令和7年度の税制改正で、給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円へ引き上げられました。
給与収入190万円以下の人が対象で、令和7年分以後の所得税に適用されます。
つまり、パートやアルバイトなど給与収入が低い層では、収入から自動で差し引かれる「概算経費」が、10万円ぶん増えたことになります。
この改正は、いわゆる「103万円の壁」が「160万円の壁」へ広がった背景にもなっています。
給与所得控除の最低保障額65万円と、引き上げられた基礎控除95万円を合わせた160万円までは、所得税がかからない計算になるためです。
ただし、注意点が2つあります。
ひとつは、社会保険の扶養に関わる「130万円の壁」は別基準で、こちらは変わっていないこと。税金の壁と社会保険の壁は、分けて考える必要があります。
もうひとつは、この160万円は「収入が給与だけで、扶養の範囲内」という文脈の話だということ。
本業を持つ会社員の副業では、あくまで「副業所得20万円超で申告」というルールが軸になります。ここは混同しやすいので、筆者として強調しておきたいポイントです。
単発バイトの落とし穴=源泉徴収票を「溜めない」集め方
単発バイトを使う人ならではの落とし穴が、源泉徴収票の枚数です。
タイミーのような単発バイトは、1年間に何か所もの職場で少しずつ働くことが珍しくありません。
掛け持ちの給与は、本業と副業の源泉徴収票をすべて合算して申告します。
つまり、10か所で働けば、原則として10枚の源泉徴収票が必要になる、ということです。
給与所得として申告するには、それぞれの勤務先から交付された源泉徴収票をそろえ、額面金額を合計しなければなりません。
ここは、単発バイトならではの新しい手間だと感じています。
以前は「副業=業務委託で、経費を引く」というイメージが強かったように思います。
でも単発バイトの多くは、経費を引けない給与所得。代わりに「複数の源泉徴収票を集める」という作業に、確定申告の重心が移ってきているのです。
私自身、作品をネット販売していた頃、少額の入金がバラバラと発生するたびに「あとでまとめよう」と後回しにして、年明けに青ざめた経験があります。
書類は、溜めた瞬間から探しものに変わります。
だからこそ、単発バイトのたびに交付される源泉徴収票は、その都度こう扱うのがおすすめです。
- 書面でもらったら、専用のクリアファイルに1枚ずつ入れる
- PDFなど電子データで届いたら、その場で「確定申告」フォルダに保存する
- 勤務先名と金額を、スマホのメモに1行ずつ書き足しておく
源泉徴収票は、法律上、雇い主に交付義務があります。
近年は電子データで交付されるケースも増えているので、アプリやメールで受け取れる場合は、受け取ったその日に保存しておくと、後の自分がずいぶん楽になります。
なお、給与から所得税があらかじめ源泉徴収されている場合、正しく計算し直すと、払いすぎた税金が戻ってくる(還付)こともあります。
申告は義務であると同時に、取り戻せるお金を確認する機会でもある。そう思うと、書類集めの手間も少し前向きになれる気がします。

20万円以下でも確定申告した方がいいケースは?
副業所得が20万円以下なら、所得税の確定申告は不要、と説明しました。
ただし、あえて申告した方が得になる場合もあります。
主に、次のようなケースです。
- 副業の報酬から源泉徴収されていて、払いすぎた税金の還付を受けたいとき
- 医療費控除やふるさと納税(寄附金控除)など、年末調整で処理できない控除を受けたいとき
- 住宅ローン控除の初年度など、確定申告が必須の控除があるとき
ここでひとつ、大事な注意点があります。
医療費控除などのために確定申告をする場合は、副業の所得が20万円以下でも、その所得をすべて申告に含めなければなりません。
たとえば副業所得5万円の人が、1万円ぶんの医療費控除を受けようとすると、課税所得が差し引き4万円ぶん増え、そのぶんの所得税が発生して、かえって納税額が増える可能性もあります。
「還付を狙って申告したら、逆に税金が増えた」ということも起こり得るわけです。
控除の金額と、申告で増える所得のバランスを見て判断するのが安全だと、筆者としては考えています。
副業を会社に知られたくないときはどうする?
副業を本業の会社に知られたくない、という声はよく聞きます。
ここは事実ベースで、できること・できないことを正直にお伝えします。
住民税は通常、会社の給与から天引きされる「特別徴収」で納めます。
この仕組みだと、副業分を含めた住民税額が会社に通知されるため、金額の変化から副業を推測される可能性があります。
これに対して、確定申告書の第二表にある「住民税・事業税に関する事項」で、給与以外の所得にかかる住民税の徴収方法を「自分で納付(普通徴収)」に選ぶ方法があります。
普通徴収を選ぶと、副業分の住民税は自治体から届く納付書で自分で納めることになり、会社に知られにくくなります。
ただし、これは「絶対にバレない」と保証できる方法ではありません。
自治体の運用や、副業がアルバイトなど給与所得の場合の扱いによっては、特別徴収に一本化されることもあります。
過度に安心せず、あくまで「可能性を高める手段」として理解しておくのが誠実だと思います。
副業アルバイト・単発バイトの確定申告のやり方【手順】
先に要点だけまとめると、こうなります。
- 必要書類は「本業+副業すべての源泉徴収票・マイナンバー・本人確認書類」
- 申告期間は原則として翌年2月16日〜3月15日
- 作成は国税庁の「確定申告書等作成コーナー」が分かりやすい
ここからは、給与所得の副業を想定して、手順を見ていきます。
1. 申告に必要な書類をそろえる
- 本業の源泉徴収票
- 副業先すべての源泉徴収票(給与所得の場合)
- マイナンバーが確認できる書類
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 還付を受ける場合は、振込先の口座情報
2. 申告書の作成方法を選ぶ
作成方法は、主に3つあります。
- 手書きで作成し、窓口か郵送で提出する
- 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」(e-Tax)で作成する
- 会計ソフトを使って作成する
給与所得の副業なら、国税庁の作成コーナーで、画面の指示に従って入力していくのが分かりやすいです。
給与所得の欄に、本業と副業を合算した収入金額と、控除後の所得金額を記入していきます。
3. 申告書を提出する
作成したデータはe-Taxで送信できるほか、印刷して郵送・持参もできます。
提出後は、控えのPDFや受付結果を保存しておくと安心です。
スマホで申告する場合は、マイナンバーカードをアプリで読み取ってログインする方式が主流です。
ID・パスワード方式は新規発行が停止されているため、これから初めて利用するなら、マイナンバーカードを用意しておくと手続きがスムーズです。
申告期間は、原則として所得が発生した年の翌年2月16日から3月15日まで。
土日祝と重なる場合は、翌平日にずれます。2025年分(令和7年分)の申告期間は、2026年2月16日から3月16日までとされています。

確定申告をしないとどうなる?ペナルティは
必要なのに申告しなかった場合、ペナルティが課される可能性があります。
- 無申告加算税:期限内に申告しなかった場合の加算。令和6年以降に法定申告期限が来るぶんは、原則として納付税額のうち50万円までは15%、50万円超300万円までは20%、300万円を超える部分は30%
- 延滞税:納税が遅れた日数に応じてかかる、利息のような税金
- 重加算税:所得を意図的に隠すなど悪質と判断された場合の最も重い加算。最大40%
副業レベルの少額であれば、無申告加算税は15%前後がおもな範囲になります。
とはいえ、税務署の調査の連絡が来る前に、自主的に期限後申告をすると、税率が軽減される仕組みもあります(自主的な期限後申告では5%まで下がるケースもあります)。
気づいた時点で早めに動くほど、負担は小さく済む、ということです。
税務署は、企業が提出する支払調書やマイナンバー制度を通じて、個人の収入をかなりの精度で把握しています。
「少額だからバレない」と考えるのは、危険だと言われるゆえんです。
そして、還付があるのに申告しなければ、払いすぎた税金は戻ってきません。
義務としてだけでなく、自分のお金を守るためにも、期限内の申告を心がけたいところです。
【考察】給与と業務委託で税金はどう違う?20万円ぶんを稼いだ場合のミニ試算
ここからは筆者の考察です。
同じ「単発の副業」でも、給与(タイミー等)か業務委託(フードデリバリー等)かで、申告ラインの届きやすさが変わります。
たとえば、副業で年26万円ぶんの対価を得て、交通費・通信費・自転車の整備などで実費が年6万円かかったケースを、あくまで一例として比べてみます。
| | タイミー等(給与所得) | フードデリバリー等(雑所得) |
|—|—|—|
| 判定に使う金額 | 収入26万円(経費は引けない) | 所得20万円(26万円−経費6万円) |
| 20万円超の判定 | 超える → 申告が必要 | 20万円以下 → 申告不要になり得る |
| 経費 | 引けない(給与所得控除で代替) | 実費6万円を引ける |
この差は「実費の経費を引けるかどうか」から生まれています。
業務委託は経費を引いて所得を圧縮できるため、同じ26万円を稼いでも申告ラインを下回るケースがある。
一方、給与は額面がそのまま判定に使われます。
仮に申告が必要になり、この所得が本業に上乗せされると、所得税率と住民税を合わせて20%の人なら、課税所得20万円につきおよそ4万円の税が増える計算になります(実際の税率は本業の所得で変わります)。
ここから見えてくるのは、タイミーのような単発バイトが広がったことで、確定申告の景色が少し変わってきた、ということです。
以前は「経費をどう引くか」が副業の税金の主戦場でした。
けれど単発バイト中心の働き方では、経費を引けない給与所得が多く、代わりに「複数の源泉徴収票をどう集め、どう管理するか」が新しい負担になっています。
税金の悩みが「計算」から「書類の整理」へと移ってきた。これは、私自身が小さな副業を続けるなかでも実感している変化です。
また、先に触れた「160万円の壁」への改正は、扶養内で単発バイトを掛け持ちする層にとっては、所得税がかからず働ける範囲が広がったことを意味します。
ただし本業を持つ会社員の副業では、あくまで「副業所得20万円超で申告」というルールが軸になる点は、繰り返し強調しておきたいところです。
税のルールは、少しずつ動いています。
金額の基準や制度は変わり得るので、申告の前には国税庁など公式の最新情報を確認するのが、遠回りに見えて一番確実だと筆者は考えています。
まとめ
会社員が副業でタイミーの単発バイトやアルバイトをした場合、所得の合計が年間20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。
タイミーの単発バイトは多くが給与所得で、実費の経費は引けない代わりに、令和7年改正で最低65万円へ引き上げられた給与所得控除が自動で適用されます。
複数の職場の源泉徴収票を集めて合算する手間がある点も、単発バイトならではの特徴です。
20万円以下でも住民税の申告は必要で、還付や控除を受けたいときは申告した方が得になる場合もあります。
申告期間は原則2月16日から3月15日まで。
必要書類を早めにそろえ、公式の最新情報を確認しながら、落ち着いて手続きを進めていきましょう。
よくある質問
タイミーの単発バイトは何所得になりますか?
多くの場合、雇用契約にもとづく給与所得です。給与所得では実費の経費は引けず、代わりに給与所得控除(令和7年分以後は最低65万円)が適用されます。業務委託の案件なら雑所得や事業所得になり、経費を差し引いて所得を計算します。源泉徴収票か支払調書か、で見分けられます。
副業のアルバイト代が20万円以下なら何もしなくていいですか?
所得税の確定申告は不要になることが多いですが、住民税の申告は別途必要です。また、源泉徴収された税金の還付や、医療費控除などを受けたい場合は、20万円以下でも申告した方がよいことがあります。
複数の単発バイトをした場合、源泉徴収票は全部必要ですか?
給与所得として申告する場合は、原則としてすべての勤務先の源泉徴収票が必要です。額面金額を合計して申告するため、働いた職場ごとに交付される書類を、電子データも含めて保管しておきましょう。
白井 結
