この記事はプロモーションを含みません。副業の税金という、間違えると損をしかねないテーマなので、出典を確かめながら中立に整理しました。
副業の確定申告は、手軽さで選ぶなら白色申告、節税で選ぶなら青色申告——これが結論です。
ただし青色申告を選べるのは、副業の所得が「事業所得・不動産所得・山林所得」のいずれかに当てはまる場合だけ。
多くの副業が入りやすい「雑所得」では、そもそも青色申告は使えません。
さらに2027年(令和9年)分から、青色申告特別控除のルールが大きく変わります。
この記事では、白色・青色それぞれのやり方と節税額の違いに加え、これから申告する人が知っておきたい制度変更まで、事実にもとづいて丁寧に見ていきます。
「私にはどっちが向いているんだろう」と迷っている方が、自分で判断できるようになることを目指して書きました。
副業で確定申告が必要なのはいくらから?20万円の意味
会社員などの給与所得者は、副業による所得が年間20万円を超えたときに、所得税の確定申告が必要になります。
ここでいう「所得」は、売上(収入)そのものではありません。収入から必要経費を差し引いた後の金額のことです。
たとえば売上が25万円でも、経費が10万円かかっていれば所得は15万円。20万円以下なので、原則として所得税の確定申告は不要になります。
逆に経費ゼロなら所得は25万円で、申告が必要です。
この「収入」と「所得」の取り違えは、判断を誤りやすいポイント。まずここを押さえておきたいところです。
なお、所得が20万円以下で所得税の申告が不要になった場合でも、市区町村への住民税の申告は別途必要です。
住民税には20万円ルールがないため、ここは見落としがちです。
一方で、20万円以下でも確定申告をした方が得なケースもあります。
副業の報酬から源泉徴収されている場合や、医療費控除・住宅ローン控除を受けたい場合は、申告することで納めすぎた税金が戻る可能性があります。
会社に副業を知られたくない——住民税の納め方がカギ
「副業を会社に知られたくない」という声も、慎重派の方からよく聞きます。
このとき手がかりになるのが、住民税の納め方です。
確定申告書の住民税に関する欄で「自分で納付(普通徴収)」を選ぶと、副業分の住民税の通知が、会社ではなく自宅に届く形になります。
会社が把握するのは本業の給与にかかる住民税だけになるため、副業の存在が伝わりにくくなる、という理屈です。
ただし、これは万能ではありません。
アルバイトなど「給与」として受け取る副業は、住民税を分けられず普通徴収を選べない場合があります。また、自治体によって運用が異なることもあります。
確実に分けたいときは、お住まいの市区町村に事前に確認しておくと安心です。制度に頼り切らず、まずは勤務先の就業規則で副業が認められているかを確かめておくのが、遠回りのようでいて確実だと思います。
副業の所得は「雑所得」か「事業所得」か——ここで申告方法が決まる
白色か青色かを考える前に、まず確認したいのが「自分の副業がどの所得区分になるか」です。ここが最初の分かれ道になります。
税制上「副業所得」という区分はなく、内容によって所得の種類が決まります。副業で代表的なのは次の区分です。
- 給与所得:アルバイトなど、雇用されて「給与」で受け取るもの
- 雑所得:アフィリエイト、フードデリバリー、ライター・デザイナーなどが「報酬」で受け取るもの
- 事業所得:一定の規模と継続性があり、社会通念上「事業」と認められるもの
ここが重要なのですが、青色申告を選べるのは「事業所得・不動産所得・山林所得」のいずれかに該当する場合だけです。
雑所得の副業では、青色申告は使えません。
しかも雑所得は、給与所得などと損益通算できません。副業で赤字が出ても、本業の給与と相殺して税金を取り戻す、ということはできない点も覚えておきたいところです。
では、雑所得と事業所得の線引きはどこにあるのでしょうか。
2022年10月に公表された国税庁の所得税基本通達の改正(基本通達35-2)では、その活動が社会通念上「事業」と言える程度かで判定するのを原則としつつ、取引を記録した帳簿書類を保存していれば、収入金額が300万円以下であっても概ね事業所得に区分される、という考え方が示されました。
逆に言えば、帳簿書類の保存がない場合は、原則として業務に係る雑所得と扱われます。
「帳簿をつけて保存しているか」が、大きな分かれ目になっているわけです。
ただし、ここに見落とされがちな注意点があります。

同じ通達では、帳簿を保存していても、収入金額が僅少と認められる場合などは、事業と認められるかを個別に判断するとされています。
国税庁は「僅少」の目安として、収入が例年おおむね300万円以下で、かつ主たる収入(本業)に対する割合が10%未満のケースを挙げています。
たとえば本業の年収が500万円の会社員が、副業で年20万円を得ている——このくらいの規模だと、帳簿があっても雑所得と判断される可能性がある、ということです。
つまり「帳簿さえつければ必ず事業所得=青色にできる」わけではありません。
ここは多くの解説が省きがちな部分なので、あえて丁寧に触れておきます。事業として育っている実態があるかどうかも、あわせて見られると考えておくのが誠実だと思います。
白色申告のやり方は?手続きが簡単な分、特別控除はなし
白色申告は、青色申告に比べて手続きや要件がシンプルな申告方法です。
青色申告の承認申請をしていない人の確定申告は、自動的に白色申告になります。
白色申告の主なメリットは、次のように整理できます。
- 「開業届」や「青色申告承認申請書」を事前に提出する必要がない
- 簡易な記帳(単式簿記)でよいため、専門知識が少なくて済む
- 収支内訳書と確定申告書の作成だけで申告できる
単式簿記とは、取引の年月日・取引先・内容・金額などを記録していく、家計簿に近いイメージの記帳方法です。簿記に自信がない方でも取り組みやすいのが特徴です。
その代わり、白色申告には税制上の優遇措置がありません。
具体的には、最大65万円の青色申告特別控除、赤字を3年繰り越せる純損失の繰越控除、繰戻還付といった制度は使えません。
家族への給与についても、白色申告特有の「事業専従者控除」として、配偶者は最大86万円、その他の親族は1人あたり最大50万円という決められた金額までしか差し引けません(この86万円・50万円は白色側の枠です)。
白色申告の流れは、おおむね次のようになります。
1. 日々の取引を記帳する(単式簿記でOK)
2. 年末(12月31日)に棚卸や減価償却などの決算作業を行う
3. 収支内訳書と確定申告書を作成する
4. 本人確認書類などの添付書類を準備する
5. 税務署に提出する(原則2月16日〜3月15日)
なお、白色申告でも記帳と帳簿保存は義務です。
事業所得などがある人は記帳が必要ですし、副業などの「業務に係る雑所得」でも、前々年の収入金額が300万円を超える場合は、請求書や領収書などを5年間保存しなければなりません。
青色申告のやり方は?最大65万円控除など節税効果は大きい
青色申告は、手間がかかる代わりに、大きな節税メリットが用意された申告方法です。
青色申告の主なメリットは、次の通りです。
- 最大65万円の青色申告特別控除(要件により55万円・10万円)
- 赤字を翌年以降3年間繰り越せる(純損失の繰越し)
- 給与所得などと赤字を相殺できる(損益通算)
- 家族への給与を、届出のうえ妥当な金額なら全額経費にできる(青色事業専従者給与)
- 30万円未満の資産を一括経費にできる少額減価償却資産の特例が使える
現行制度で最大65万円の控除を受けるには、複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を添付して期限内に申告したうえで、e-Taxでの申告または優良な電子帳簿保存が必要です。
この要件を満たさず書面で申告した場合の控除額は55万円、簡易な記帳の場合は10万円です。
青色申告で白色と決定的に違うのが「事前申請」です。
青色申告をするには、「所得税の青色申告承認申請書」を、青色申告をしようとする年の3月15日までに税務署へ提出しなければなりません。
その年の1月16日以降に開業した場合は、開業日から2ヶ月以内が期限です。
さらに、開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)も開業から1ヶ月以内の提出が必要です。
青色申告承認申請書と期限が近いので、開業時にまとめて出しておくと申請漏れを防げます。
申請を忘れると、その年は青色申告ができません。ここは白色にはない、青色ならではの注意点です。
副業の青色申告と白色申告、節税効果と手続きを比較
ここまでの内容を、副業の視点で一覧に整理してみます(控除額は現行制度、2026年時点のものです)。
| 比較項目 | 白色申告 | 青色申告 |
|—|—|—|
| 対象の所得 | 事業所得・不動産所得・山林所得以外も可 | 事業所得・不動産所得・山林所得のみ |
| 事前申請 | 不要 | 開業届+青色申告承認申請書が必要 |
| 記帳方法 | 単式簿記(簡易) | 複式簿記(10万円控除は簡易でも可) |
| 特別控除 | なし | 最大65万円(要件により55万円・10万円) |
| 赤字の繰越 | 不可 | 3年間繰越可能 |
| 家族への給与 | 配偶者86万円・親族50万円まで | 届出のうえ妥当なら全額経費 |
| 手続きの手間 | 小さい | 大きい |
こうして並べると、青色申告の節税メリットの大きさが分かります。
ただし、それは「事業所得などに該当し、複式簿記で記帳できる」ことが前提です。
副業がライティングなどで雑所得になりやすい場合、そもそも青色申告は選べません。
この点を見落としたまま「節税になるから青色で」と考えると、入口でつまずいてしまいます。
【2027年から要注意】青色申告特別控除の見直しとe-Taxの変化
結論から言うと、複式簿記でも書面(紙)で提出すると、控除が55万円から10万円へと減額される予定です。
副業の申告方法を考えるうえで、必ず知っておきたい制度変更です。
2025年12月26日に閣議決定された「令和8年度税制改正大綱」により、令和9年分(2027年分)以後の所得税から、青色申告特別控除の控除額と要件が見直される予定です。個人住民税では、令和10年度以後に順次反映されると整理されています。
改正後の控除額は、電子化の度合いで次のように整理されます。
- 複式簿記+期限内のe-Tax提出+仕訳帳・総勘定元帳の電子帳簿保存など:75万円(新設・増額)
- 複式簿記+期限内のe-Tax提出:65万円(据え置き)
- 複式簿記+書面提出:55万円が廃止され、10万円に減額
- 簡易な記帳(10万円控除):前々年の事業・不動産所得の収入金額が1,000万円を超える人は対象外(0円)

特に見逃せないのが、複式簿記でも書面で提出すると、控除額が55万円から10万円へと45万円も下がる点です。
しっかり帳簿をつけていても、「最後は紙に印刷して提出」という運用のままだと、控除が大きく目減りしてしまいます。
もう一つ、簡易な記帳による10万円控除に「前々年の収入1,000万円超は対象外」という制限が加わる点も、これまでにはなかった変更です。
一定規模の人には、複式簿記への移行が促される形になります。
なお、税制改正大綱はあくまで改正のドラフトで、国会審議を経て法律として確定します。
最終的な要件が変わる可能性もあるため、最新は国税庁など公式で確認するのが安心です。
e-Taxそのものにも変化がありました。
2025年10月1日から、ID・パスワード方式の新規発行が停止されています。これから新たにe-Taxを始める場合は、マイナンバーカードの取得が必要です(すでに届出済みの方は当面そのまま利用できます)。
こうした変更は、地味に見えて節税額に直結します。制度は動くものだと前提に置いておきたいですね。
【筆者の考察】副業に白色と青色、どちらを選ぶか
ここからは筆者としての私見です。
個人的には、副業を始めたばかりで所得規模がまだ小さいうちは、白色申告から入るのが現実的だと考えています。
本業で忙しく、副業に多くの時間を割けない段階では、白色の「手続きの軽さ」が効いてくるからです。
私自身、趣味の作品をネットで販売し始めた頃、レシートを引き出しに放り込んだまま一年を過ごしてしまいました。
いざ申告の時期になって、束になったレシートを前に「これは何の材料費だったっけ」と記憶をたどる羽目に。あの一日の苦さは、今でもよく覚えています。
その反省から、今は月に一度、まとめて記帳する習慣をつけました。まずは「無理なく続けられる形」を選ぶことが、長く副業を育てるうえでは大事なのだと思います。
一方で、副業が育って所得がまとまってくると、青色申告の節税効果がはっきり効いてきます。
ここで、ざっくりした試算を一つ置いてみます。
仮に、本業と副業を合わせた課税所得が「所得税率20%+住民税率10%=合計30%」の層にある人が、事業所得として青色申告特別控除65万円を満額使えたとします。
このとき、65万円 × 30% = 約19.5万円。これが、白色申告(特別控除ゼロ)との単純な差になります。
もちろんこれは概算で、実際は他の所得控除や税率区分によって上下します。
それでも、「申告方法を変えるだけで十数万円が動きうる」という感覚は持っておいて損はないと思います。
さらに、赤字を給与所得と相殺できる損益通算も青色の強みです。
たとえば開業初年度に材料や機材への投資が先行して赤字になった年——こうしたケースで、本業の給与にかかる税金を取り戻せる可能性があります。これは、事業として続ける人にとって心強い仕組みだと感じます。
ただし、青色申告は「事業所得と認められること」が前提です。
しかも先に触れたとおり、帳簿があっても収入が僅少(例年300万円以下かつ本業の10%未満)だと、雑所得と判断される余地があります。
税務署が実際に見るのは、活動の継続性や営利性、どれくらいの時間と労力を注いでいるか、といった実態だと言われます。
つまり、規模がごく小さいうちは、そもそも青色の土俵に立てないこともある——ここは正直にお伝えしておきたい点です。
だからこそ、たとえ今は白色でも、日々の記帳と帳簿・領収書の保存を習慣にしておくことをおすすめします。
記帳の習慣づけは「今の白色申告のため」であると同時に、「将来、事業所得として青色に進むための準備」にもなります。ここが、私がこの記事で一番お伝えしたかった視点です。
そしてもう一つ、2027年の改正を踏まえると、これから記帳を整えるなら最初から「複式簿記+e-Tax」を前提に設計しておくのが得策だと考えます。
せっかく複式簿記で帳簿を作っても、書面提出のままでは控除が10万円まで下がってしまうからです。
会計ソフトを使えば、口座やカードと連携して仕訳まで自動化でき、複式簿記のハードルはかなり下がります。「難しそう」という理由だけで白色に決めてしまうのは、少しもったいないかもしれません。
なお、副業の売上が伸びてくると、消費税のインボイス制度や社会保険の扱いも関わってきます。これは今回のテーマから外れるので、また別の機会に整理できればと思います。
もちろん、どちらが有利かは所得規模や使える時間で変わります。
判断に迷うときや、雑所得か事業所得かの線引きが不安なときは、税務署や税理士など専門家に相談するのが確実です。
まとめ
副業の確定申告は、給与所得者の場合、所得が年間20万円を超えると必要になります。
申告方法には白色と青色があり、白色は事前申請不要・簡易な記帳でよい代わりに特別控除なし、青色は開業届と承認申請書の提出・複式簿記が必要な代わりに、最大65万円の特別控除や赤字の3年繰越といった節税メリットがあります。
ただし青色申告は「事業所得・不動産所得・山林所得」に限られ、雑所得の副業では使えません。帳簿があっても規模が小さいと雑所得と判断される場合がある点も、あわせて押さえておきたいところです。
さらに2027年分からは、書面提出の控除額が大幅に下がり、電子化を前提とした制度に組み替わります。
始めたばかりで規模が小さいうちは白色、事業として育ってきたら青色、というのが一つの目安。どちらを選ぶにしても、日々の記帳と帳簿保存を続けておくことが、将来の選択肢を広げてくれます。
よくある質問
副業の白色申告のやり方は?
日々の取引を単式簿記で記帳し、年末に決算作業を行ったうえで、収支内訳書と確定申告書を作成して税務署に提出します。事前の申請は不要で、確定申告をすれば自動的に白色申告になります。申告期間は原則2月16日から3月15日までです。
副業で青色申告をするにはどうすればいい?
副業の所得が事業所得・不動産所得・山林所得のいずれかに該当することが前提です。そのうえで、青色申告をしたい年の3月15日まで(1月16日以降の開業なら開業から2ヶ月以内)に「青色申告承認申請書」を税務署へ提出し、複式簿記で記帳します。開業届の提出も必要です。
副業は白色と青色どっちが得?
手続きの簡単さなら白色、節税額なら青色が有利です。所得が小さく時間を割けないうちは白色、事業規模になり所得がまとまってきたら青色、という選び方が現実的です。ただし青色は事業所得などに限られるため、まず自分の所得区分を確認するのが先決です。
会社に副業を知られたくない場合はどうすればいい?
確定申告書で住民税を「自分で納付(普通徴収)」に指定すると、副業分の住民税通知が自宅に届き、会社に伝わりにくくなります。ただし給与として受け取る副業では選べない場合があり、自治体で運用も異なるため、事前に市区町村へ確認しておくと安心です。
2027年からの青色申告特別控除の変更で何に気をつければいい?
複式簿記でも書面提出だと控除が55万円から10万円に下がる予定のため、e-Taxでの電子申告に移行しておくのが安心です。新規のe-Tax利用にはマイナンバーカードが必要なので、早めの準備をおすすめします。最終的な内容は法律の成立後に確定するため、国税庁など公式での確認も忘れずに。
